「その缶‥ですけど、中にピンポン玉が付いていて面白いですね。」
「道路を空きカン引きずりながらガラガラ歩くアイディアがあって、作ったものなんですよ。名古屋のライブで使ったんだけど、残響の感じが良くて‥」
「ここで使おうと思って持ってきたんですか。」
「今回「残響のある空間」というキーワードを聞いていたんで、もしかしたら使えるかなぁと思ってカバンに忍ばせてきました。」
「じゃ、ここに入ってから使おうって決めたんですね。」
「坑内に入ったら、もう、これは使わないといけないな、って感じで。幸い、人もいなかったし。」
「ここの空間は音表現の場として魅力的ですよね。」
「うん、最高だと思う。」
「山田さんだったら、どんなことしたいですか? まぁ先ほどまで”お仕事”されてましたが‥(笑)」
「予定していたことじゃなかったけどね。」
「きちんと計画できるとして、何をやりたいかと‥」
「まず、入るとBGMが流れていますよね、癒しの環境音楽がエンドレスで流れている。まぁ、圧迫感を防ぐ意味で十分機能してるし、いいと思うんです。でも、僕だったら音楽ではなくて自然の、例えば天井から水が流れて落ちてくるとか‥そういう自然音を取り込んで、自分の音を重ねていきたいなぁと。」
「それも”音楽”じゃないんですね?」
「えぇ。あと、今日は快晴ですけど、例えば、どしゃ降りの日だと当然、その雨音がこの空間に影響するはずなんです。奥の方に穴がありますよね、外の光が入ってきてるから。」
「天気によって音環境が変化するわけですか。」
「そう、全部受け入れるというか‥。雷なんか鳴ったりすると、面白い。」
「つまり、演奏者主導じゃなくて、環境主導という感じですね。」
「まっ、音を”作りたくない”というか‥その場にある音を受け入れるってことです。」
「今、団体さんがやってきましたけど、ああいう状態もOKだと?」
「たくさんの人が喋ってるけど、それがこの空間で融合しちゃってる、持続音として成り立っている。」
「たしかにガヤガヤという感じではないですね。」
「やっぱり、この場の強い残響がいい効果を作っているんですよ。」
「一人ひとりは、大したこと喋っていないけど厳かな感じ。」
「重々しいよね、ちょっと怖いけど。全員にロウソクでも持たせたい‥(笑)」